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坊さんの仕事

おばあちゃんの葬儀が一通り終わった。これからは桜の咲く頃は、おばあちゃんを思い出すのだろう。


弘法も筆の誤り

なきがらは県を越えて故郷に帰ってきた。
間に「友引」が入るため葬式まで3日間もあったので、コチンコチンに冷凍保存されていた。

きれいにお化粧をされて、今にもふっと口元からなにか言葉が出てきそう。

病院で機械につながれ、ただ息をしていた、ただ心臓が止まるのを待っていた20日間のほうが死体のようだった。

葬式のとき来たお坊さんは、昔から母方の親戚に不幸があったときに世話になっている人。
腰の曲がり具合が、年月を感じさせる。

このお坊さんは、ただお経を上げるだけでなく、生前どんな人であったか、どこでいつ生まれ、どんな人生を歩んできたのかを書いた巻物を、とくとくと読み上げるのである。

(葬儀前日にお坊さん自身が、家族などから話しを聞いて書き上げるのだという)

これを読まれると、亡くなった人の姿が目に浮かび、涙を誘うのである。

10年前におばあさんの息子のときも、2年前におじいちゃんのときも、このお坊さんだった。
今度のおばあちゃんの人生の巻物は、その集大成というか妙に詳細で長く、俺は簡単に眠ってしまったが、母や叔母など昔を知る人は、涙涙であった。

葬儀が終わった後にも、お説教というか、死者への接し方、仏教のいくつかの言葉の由来などを話してくれるのだが、難しい言葉を使わず、わかりやすい話なので、長丁場の後でもついつい話に聞き入ってしまう。

そんなこんなで、いい仕事をする坊さんだと、つくづく思うのである。


告別式も終わり、斎場から火葬場に移動するとき、用意されたマイクロバスに乗ろうか、自分の車で移動しようか、バスの前で思案していたら。。。

ドン!と大きな音が。

見れば、クラウンの鼻先がバスの後部にぶつかっている。
クラウンを運手していたのはあのお坊さんだった。

(バンパーとバンパーがへこんだだけなので、被害は軽度)

坊さんは、びっくりした顔をしていた。

周りの人は苦笑いだった。

けが人はでなかった。

俺は自分の車で移動した。

坊さんはバスや俺たちより先に火葬場に着いていた。
お経を上げながら、棺は火葬されていった。

さよなら、ばあちゃん。

その後、坊さんは、次の予定があったのか、ばつが悪かったのか、そそくさと帰ってしまった。
いつもはゆっくりお昼を食べていくのに。

きっと、修理工場にでもいったのかもしれない。
いや、自分でお払いをしたのかもしれない。

バスの修理代をお坊さんに請求したのかはわからない。

弘法が筆を誤った、坊さんの仕事だった。

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